葱 葱くさい風邪


久しぶりに風邪をひいた。
テレビで喉の痛みには葱が効くと言っていたので、
さっそく深谷葱を買いこんだ。
作ったメニューは葱チャーハン、葱サラダ、葱味噌汁の３品。
その上、薬味に生の葱を全体に振りかける。
それらをほとんどたいらげた。
また悪い癖がでた。
即実行するのはほめてあげるけど、
ちょっと過激過ぎるのである。
葱攻めで、喉の痛みにプラスして吐く息がすべて葱くさくなった。
自分で感じるほどなのだから、そうとうくさいに違いない。


おじさん 電車のなかの寂しいおじさん


よろけた振りして隣の若い女の子のほうに何度も
もたれかかりそうになっている狸寝入りのおじさん。
あと1センチくらいで女の子の肩にタッチなのに、
そこまでいくとなぜかパチッと目を開いて
キョロキョロあたりを見まわして、もとの直角の姿勢にもどる。
しばらくすると目をつぶってまた倒れかかる。
同じことの繰り返しなので観察も少々飽きてきた。
視線を移動させたら、足が八の字型に無理に開いている。
それはおじさんの右足が女の子の足に触れているからだった。
よく見るとおじさんの足は震えていた。
最初は「いやらしい人」と思っていたが、
見ているうちに 「さびしいおじさん」「たわいない遊び」
という気持ちに変わってきた。
と同時に私のきつかった目も穏やかになってきた。
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