大自然に癒されて子どもに返る

ミクロネシアの楽園ポナペに行ってきた。
ホテルは海と熱帯樹林の見下ろせるスノーランドホテルである。
まず出迎えてくれたのはポナペ生まれの犬たちと蛙。妙なコンビについ笑ってしまう。
　南国の小島の空気にどっぶり浸りたくて散歩に出る。勝手に道案内をしてくれたのは、さっき出迎えてくれたまるまる太った短足の犬だ。
空を仰ぐ犬の視線を追っていくと野生のバナナ、パパイヤ、ドリアン、椰子の実が顔をのぞかせている。そのどれかが熟して自然におちてこないかしばらく待っていたのだが、犬が「あきらめろ」とでも言うようにスタスタ行ってしまうので、しかたなく後を追いかける。

　自然の力で息づいている島

　木々の間からポナペの住民の生活をかいまみた。椰子の葉で葺いた屋根、川で水浴びや洗濯をする親子、果実を棒でたたき落としている子供たち。
自然と共存しているそんな彼らを見ていたら心がとても安らいできた。
私もこんな環境で過ごすことができたら、子供のころのようにものをありのまま素直に見る目、自然の奏でる音との対話をとり戻せるかもしれないと思った。
翌日からはスキューバダイビングで海の魚たちと遊び、帰国前日には無人島といってもよいほどの孤島、ブラックコーラルに船で渡る。
　そこは写真でも言葉でも表現しつくせない、それほど美しいところだった。水道も電気もなくすべて自然の力で息づいている島。ここに一泊し、便利さに慣れた自分がどう対応するか知るのは楽しみのひとつだ。

　珊瑚礁の花畑

　まず大好きな海を知りたくて潜ってみる。まるでレースのカーテンが風に揺れているように泳いでいるイカの群れに出会う。追いかけると折りたたみの傘になった。いつも大根おろしと一緒に食べるシラス干しのような魚たちに太陽の光が反射してキラキラ輝いている。
思わず「おいしそう！」と叫んだら「聞こえるわよ」と友人に叱られる。
すごいものを見た。珊瑚礁の花畑に蝶の大群。そんな表現がぴったりの蝶々魚の大群である。感動で体が震えた。

　星のシャンデリアと潮風のBGM

　夕食は星のシャンデリアのもと、モリでついて捕ってくれたヒラメとグローブのように大きなヤシ蟹をいただく。食後、海の上に建てられたバンガローで休みながら自分に問いかけてみる。
　「今どんな気持ち？」
　「なにもかもがいとおしいような、そんなあったかい気分」
　きっと自然の力で心が癒されたからだろう。帰国したらもとの自分に戻ってしまうことは分かっている。が、たとえ瞬間でも本来の人間らしい気持ちにもどれたことは忘れたくない。
　この体験はきっと心の支えになると思うから。

孤島・ブラックコーラルについての詳細は
スノーランドホテル

ポナペの拡大写真たちが 次の扉に控えています。 訪れてみてください。

レンズの詩・Menu 1　無人島ブラックコーラルの船着場 2　すべて自然の力で息づいている島 3　宿の屋根は椰子の葉 4　360度透明な海と珊瑚礁に囲まれて 5　ポナペのイキイキ料理