トルコのおばあちゃんとアドレス交換 　フェリーの中で、 一人ぽつんといたトルコのおばあちゃんに出会いました。 一緒に写真をとった後、会話はまったく通じないのですが、 そこはボディトークで仲良しになれたかな!?と思った瞬間、 なにやらアクセサリーを取り出し私たちにすすめます。 この瞬間、ガッカリ。よく海外で体験したシーンと同じで、 結局、物を売りたかっただけなのかと。私はそっと席を離れました。 友人はあまり海外体験がないので、すすめられるままに、 そのアクセサリーを手にとっています。 そのとき友人が手招きします。いやいや席に戻ると、 おばあちゃんのさびしそうな目。 違ったのです。それはトルコのイスラム教のお守りだったの。 それを私たちにくれたの。旅の無事を祈るかのように。 私すごくみじめだった。 旅行前ツアーの会社から声かけられても無視するようにいわれたり、 海外で多くの物売りに出会い、 その売り方の狡猾さや偽物を買った経験があるだけに、 そういう目で見てしまったの。 お詫びの気持ちをどう伝えたらよいか、と思ったとき、 おばあちゃんが突然、トルコの土地の香りをもつ歌を歌いだしたの。 それは静かでとても心に響きました。 私は自然に全身でリズムをとっていました。 歌い終わったとき、おばあちゃんの暖かい目が私を見ていました。 時には言葉がないほうが、 心が通いあうこともあるんだ、という体験をしました。 　　　　　　　　　　　　　　　トルコのおばあちゃんと私の友人 　クールでいっけん冷たそうなトルコのガイド、サイトさん。 日本語はかなり上手です。 ツアーメンバーは40人。そのすべてに何気なく気配りをしている 姿がいまも心に残ります。シャイなため、面と向かっては優しい言葉がでて こないぶん、行動で示してくれました。メンバーほとんど全員、 サイトさんのファンになりました。 なぜわかったかというと、 サイトさんのどんな小さな注意も素直にメンバーが守ったから。 最高齢７０代で平均年齢６０以上と思われるメンバーたちが、 サイトさんの「わかりましたかー」 という呼びかけに、 子供のように「はーい」と答える姿は、ほほえましかった。 連日の超過密スケジュール、寝不足、疲労で、ほっとけば、 みな不機嫌で無口になります。 同じ疲労を抱えながらもサイトさんは、私たちをよく笑わせてくれました。 さよならをするエアポートで、 サイトさんは「私はお別れの言葉をうまく言えません」 といって黙ってしまいました。 黙ったまま、その日はユーモアもまったくありません。 メンバーは一人一人お別れの挨拶をして搭乗口に向かいました。 あとでメンバーの一人が教えてくれました。 サイトさん、今にも泣きそうだったと・・・・・